セックス大国「フランス」から日本人が学ぶべきこと

イギリスのコンドームメーカー「DULEX(デュレックス」が41カ国35万人を対象に実施している「世界セックス比較調査(Global Sex Survey)」の2004年度の結果は、フランスが第一位、ギリシャが第二位、セルビア・モンテネグロが第三位だったのに対して、日本は先進国の中でまさかの最下位でした。

年間の回数で比較をすると、フランスが137回だったのに対して、日本はわずか46回。週単位で換算をすると、日本人は週に1回以下しかセックスをしていないことになります。

もちろん回数がすべてというわけではありませんが、少子化が叫ばれる中で、この数値は決して軽視できない問題でしょう。そこで今回は、セックス大国である「フランス」から、私たちが学べることを探ってみたいと思います。

女性の意識

2006年からパリ第一大学博士課程でセックスとメディアを研究している斉藤珠里さんは、セックスに対する女性の意識がフランスと日本では大きく異なると言及しています。

「雑誌『アエラ』の既婚女性のネット調査で、性生活への満足度を女性が10点満点で評価した結果をみると、フランス女性の平均が7.0点だったのに対し、日本女性は5.2点に留まった。問題点を徹底的に見直して改善努力をするか、仕方ないと答案のことを忘れてしまうか。模範解答は言うまでもないが、シチュエーションをセックスという問題に置き換えてみると、女性の大半が後者の行動パターンを選んでしまうのが日本の実情だ。

しかし、フランスではセックスがカップルの絆であり、愛情のバロメーター。フランス地方都市リヨンでホームドクターをするリュック・ペリノ意思のもとには、82歳の女性がセックスでオーガズムが得られないという悩みを真剣に打ち明けてきたことがあるという。日本なら「色情魔」と一笑に付されてしまうようなエピソードだが、生涯現役のオンナでいたいと願うフランス女性にとっては、決して笑い事ではない」

上記のエピソードにもあるように、フランスでは、「セックス=愛や絆の象徴であり、男女のコミュニケーションの延長線上にあるもの」という意識が女性にも深く根付いていることがわかります。

不倫に対する意識

セックス頻度が1位の国というと、「フランス人は、奔放で性欲が強いんだなぁ」と思ってしまいますが、そういうわけではなさそうです。

フランスの国内調査によると、「過去一年間にセックスをした相手」を尋ねたところ、既婚男性の91%、既婚女性の94%が「配偶者ひとりだけ」と回答しています。

彼らの多くは、保守的で愛にとても誠実だからこそ、「愛するパートナーとのセックスが一番気持ちいい」ことを知っているのだと思います。

一方で、セックスレス大国の日本では、既婚女性の4人に1人は「不倫経験あり」といわれ、メディアでも婚外恋愛がもてはやされています。夫婦のセックスがうまくいかなくなったら「外で済ませればいいだけ」という考えをもった人もいます。

日本人の性行動は、回数が少ないだけでなく、不特定多数の人としているから質も悪いのです。愛やセックスに誠実であるフランス人の姿勢を学ぶべきでしょう。

最後に

セックスは、「愛の交流」です。愛の交流を欠かさない夫婦は、子どもにもまっとうな愛情を注ぐことができるでしょう。そして、両親の愛を受けて育った子どもは、恋愛をして、愛のあふれる家庭を築くようになる。幸せの連鎖ってこうやって起こるものです。愛に生きるフランスの国民性が、私たちの意識にも少しずつ定着していくといいですね。

参考文献:玄田有史・斉藤珠里『仕事とセックスのあいだ』朝日新書