高学歴男子はセックスレスになりやすい!「性的回避」の実態

セックスレスに悩む男女が増えている。ただ一言で「セックスレス・カップル」といっても、その形はさまざま。要因や深刻さもカップルによって異なるのが実情です。

一般的にセックスレスで悩んでいるという人には、どうすればマンネリを打破できるかということが議論になり、専門家がセックスのテクニックやライフスタイルのアドバイスしたりするイメージがあります。

しかしセックスレスで悩むカップルのなかには「心の中では性的接触を求めているけれど、セックスできない(=性的回避)」というケースもあるようです。

エリート男子に多い「性的回避」

セックスや性的接触が2ヶ月以上ないことを「性的回避」といいますが、この症状で悩む患者を職種別でみると、一流企業に勤める銀行員やエンジニアなど、申し分のないハイステータスな男性に多いことが明らかになりました。

セックス・セラピーの第一人者である阿部輝夫さんは、性的回避には日本の核家族化によって、マニュアル化した子育てをするようになったことが関係していると述べています。

「1990年ごろに20代後半から30代であった彼らの生まれた頃は、日本では核家族化が進行中であった。彼らの親は育児について、その親の世代から直接教えを受ける機会がなく、マニュアルどおりに子どもを育てるケースが増えた。彼らはテレビ番組、友達、本の選び方から勉強の仕方、進学の目標まで、親に決めてもらってきた傾向がみられた。

(中略)彼らは自分の立場を充分に自覚し、それなりに振る舞おうとするのだが、心の内の自己評価は決して高くない。それは謙虚であるというのではなく、自信のなさなのである。あるがままの自分を受け入れることができないため、他人との関係を結ぶことが苦手、したがって恋愛に対しても非常に臆病である。」

親の敷いたレールの上を歩む人生。条件付きでしか注がれない愛情。傍から見れば幸せそうにみえる幼少期でも、彼らの脳裏には「失敗をすると嫌われてしまう」という不安がつねによぎり、それは成人をして社会に出てからも付きまといます。

だから恋愛やセックスでも、正しく振る舞うことばかりを考えて、自分の欲求を素直に表現することができないのです。性的回避とは、母親から愛されるために、必死にエゴや期待に答えようとした結果、形成された人格なのかもしれません。

参考文献:阿部輝夫『セックスレスの精神医学』PHP新書