女性にオナニーの取材をしていると、「終わったあとに罪悪感が残る」「何やってんだろうって虚しさに襲われる」といった声を聞くことがよくあります。年齢が若い人ほどこの傾向があるようです。
オナニーは本来、気持ちのいいオーガズムで心身ともにリラックスできるすばらしい行為。なのに、快感が冷めやまないうちに罪悪感や虚しさに襲われてしまうと、心からオーガズムの快感を享受することができないもの。
そんなわけで今回は、オナニー後にやってくる罪悪感の正体と解決方法について考えていきたいと思います。
目次
私がオナニーの罪悪感から解放されるまでの道のり
オナニストとして日々エロいことを書いている私ですが、かつてはオナニーへの衝動を抑えられない自分を情けなく思う時期がありました。
私がオナニーを始めたのは、5~6歳の頃。当時は姉と相部屋で、二段ベッドの下に寝ていました。姉の寝息を確認したら、気付かれないように息を殺して性器をまさぐっていたのを覚えています。
たまに気持ちよくなってパジャマのズボンをおろしたまま寝てしまうことがあり、翌朝母親に「アンタ、昨日裸で寝てたけど、暑かったの?」と聞かれて、ものすごく恥ずかしい気持ちになりました。
この頃からなんとなく「あれ(オナニー)はひとに見せてはいけない」「こういうことをしたくなる自分はおかしいんだ」と感じていたと思います。

そしてなぜか年末年始や新学期など節目の時期になると「よし!今回で最後のオナニーにしよう」「4年生になったら絶対こんなことしない」と何度もオナニー納めを繰り返していました。
結局オナ禁をしても1か月もたたないうちに我慢できなくなり、「今回だけ!」と解禁してしまうのですが…。20歳過ぎるぐらいまでこんな感じのサイクルを続けていました。
それこそ大学時代にライターの仕事を始めて、セックス系のコラムを書くようになってからも、「自分のオナニー」について語れるようになるまで2年ぐらいかかりましたね。オナニー歴は20年以上ですが、その罪悪感から解放されたのは、本当にここ3~4年のことなのです。
私と同じようにオナニーに対して罪悪感を覚える女性は多くいます。その度合いはさまざまですが、ひどい場合は自分を醜い存在だと感じて、行為後に涙が出たり、髪をかきむしったりする人もいるようです。
ここまで自己肯定感が低下してしまうと、精神衛生上良くないですよね。私たちはオナニー後の罪悪感とどのように向き合っていけばいいのでしょうか。
オナニーの罪悪感の正体1:ドーパミン、プロラクチンのせい=賢者タイム
そもそもなぜ私たちはオナニーをした後に罪悪感やむなしさに襲われるのでしょうか。その原因を正しく理解することから始めてみましょう。
まずは体に起こる変化から見ていきましょう。AVを見たり妄想をしたりして性欲が高まると、脳内では「ドーパミン」という快楽伝達物質が大量に分泌されます。
ドーパミンレベルが高まると、快楽、幸福感、集中力、意欲などが得られるようになります。オナニーをしているときにムラムラが抑えられなくなるのは、大量に分泌されるドーパミンのせいです。それによって脳が興奮し、「快感」を得ることができるのです。
しかしオナニーで絶頂に達するとゆるやかにドーパミンレベルが低下し、今度は「プロラクチン」というホルモンの分泌量が増え、眠気や脱力感に襲われます。これがいわゆる「賢者タイム」といわれる現象で、人によっては「何やってんだろ」と虚しくなったりするのです。
月経や射精と同じように「生理現象」のようなものですから、こうした感情を持つのは自然なことととらえると少し気持ちが楽になるかもしれませんね。
オナニーの罪悪感の正体2:両親からの刷り込み
しつけや校則が厳しい環境で育った女性もオナニーに対して強い罪悪感を覚えることがあります。以前、取材で出会った女性がこんなエピソードを話してくれました。
「小学生の頃に部屋でアソコを触っていたら、母親に見つかって『そんなことしちゃいけません!』と怒られたんです。そのときは自分がオナニーをしているという自覚すらなかったけど、アソコを触って気持ちよくなる行為はいけないことなんだなと思い、親に隠れてこそこそとするようになりました」(27歳/女性)
彼女の家庭はしつけが厳しく、「性=タブーなもの」として避妊のことすら母親から語られることはなかったそうです。こうした性に対する刷り込みを大人になってからも引きずる女性は、セックスやオナニーに対して受け身でネガティブなイメージを持ちやすいようです。
オナニーの罪悪感の正体3:オナニー=男性がすること
日本では、女性のオナニーについて語られる場所が少ないことも影響しています。
これは私の経験なのですが、小中学生の保健体育で「マスターベーション」について教わったとき、教科書には「思春期の男性がすること」と書かれていたのです。これを読んで同級生の女の子たちが「いやだ~男子ってこんなことしてるの?」と笑っていて、「…え、私が普段してるアレ(オナニー)って何なんだろう?」と恥ずかしい気持ちになったことを覚えています。
現在はどのように教育しているのか分かりませんが、あのとき「思春期の男女がすること」と教わっていれば、「こんなことする自分っておかしいのかも」という不安はぬぐえたと思います。
オナニーの罪悪感の正体4:女子同士で話す機会が少ない
男性と比較すると、日本人女性は自分のオナニーについて語る機会が少なすぎません。ってかほとんどありません!!
冒頭でも書いた通り、私も「オナニー」という単語を恥じらいなく口にできるようになったのはごく最近のこと。それまでは彼氏に「ひとりでしないの?」と聞かれても、「女の子はそんなことしないよ」とはぐらかしてきました。
心のどこかで「オナニーは彼氏ができないモテない女子がする情けないこと」と思い込んでいたんですよね。でもそれもこれも、女友達と話す機会がなかったことが原因だと思います。
オナニーの罪悪感に対する対処法1:9割の女子がオナニーをしている現実を知る
さて、オナニー後に感じる罪悪感についてさまざまな原因を分析してきましたが、私たちはこの厄介な感情とどのように向き合えばいいのでしょうか。最後に、私の考えをまとめておきます。
まずは女性のオナニー事情を正しく理解することです。今年2月に発売されたananのセックス特集によれば、「ひとりエッチを経験したことがある女性の割合は9割」を超えていました。
そう、あなたの隣のあの子も、美人なお姉さんもみーんなオナニーしてるんです。むしろしない女性のほうがマイノリティ。この現実を知るとちょっと心が軽くなりませんか。
要はみんな恥ずかしがっていわないだけ。今テレビに出ている女優やモデルだって、ひとりになればアソコをもぞもぞしてるんですから。「私も彼女たちと同じ」と思えばいいのです。
オナニーの罪悪感に対する対処法2:オナ友をつくる
オナ友=オナニーについて話をできる友達のことです。アホ臭いですが、個人的には一番効果がありました。私はこの3年間、素人女性のオナニー事情の取材を続けています。仕事を通して日常的に「オナニー」「クンニ」「セックス」と言葉にすることで、性への恥じらいが薄らいでいったのです。
オナニーのオの字も言葉にしたことのない女性にとってはなかなかハードルの高いことかもしれませんが、信頼できる女友達と一度話してみるといいと思います。
会話例:「この前彼氏にひとりでしたことある?」って聞かれたんだけど、どう答えたらいいのか分からなくて。あなただったらどうする?
会話例:「彼氏にローターをプレゼントされたの。ひとりで練習しろって言われたんだけど、こういうの使ったことある?」
こんなふうに彼氏ネタとからめて切り出せば、「ひとりエッチってしたことある?」と聞かれるよりも本音を打ち明けやすいはずです。
オナニーの罪悪感に対する対処法3:オナニーのメリットを考える
オナニーの最大のメリットはやはり「気持ちいいこと」ですが、それ以外にもいろんなメリットがあります。
健康面では、「リラックスして寝つきが良くなる」「頭痛が軽減される(鎮痛剤としての効果)」「足先までぽかぽかになる」などが代表的なところですね。恋愛では、オナニーで自分の性感帯を知っておくことで、セックスの満足度が向上します。
これは取材をして感じていることなのですが、「セックスの好き嫌いとオナニーの経験」には明確な相関関係があります。オナニーをしている女性のほうがセックスへの好奇心も強く満足しているという人が圧倒的に多いです。当然、オーガズムの到達率にも差があります。
もはやオナニーは大人の女性のベッド―マナーになりつつあります。これからの時代、彼に気持ちよくしてもらおうとする受け身な女性は流行りません。自分の体と向き合い、貪欲に快感を探求する。こんなふうに明るい気持ちで自分の性欲と付き合ってみてはいかがでしょうか。