子宮女子が集う「ジェムリンガの販売会」に行ったときの話

最近巷で増殖している「子宮女子」の存在をご存知でしょうか。

子宮女子とは、子宮の声を信じ、常識にとらわれずありのままの姿で生きようとする女子のこと。そんな彼女たちの間で、「ジェムリンガ」というヒーリングジュエリーがひそかに浸透しています。

驚くことに彼女たちは、そのジェムリンガを何週間にもわたって膣の中に挿入し、日常生活を送っているのだそうです。

得体の知れない“異物”をアソコに入れるなんて、危なくないの…?!そんな怪しい習慣は、誰が始めたものなの?と疑問が尽きないですよね。

そんなわけで今回は、私が実際に参加した、全国各所で行われている「ジェムリンガの販売会」への潜入レポートをまとめていきたいと思います。

ジェムリンガって何?

ジェムリンガの公式ホームページによれば、「ジェムリンガは厳選した天然鉱物と、不純物のきわめて少ない『無添加の純銀』を素材として、女性の身体のヒーリングを主な目的にしたジュエリー」のこと。

「不感症やセックスレスなど、性を『悩み』として考えざるを得なくなってしまった主婦層や、一般的に結婚適齢期と呼ばれる女性たち」をターゲットとして販売しているのだそうです。

その価格は1個18000円(税抜)~。ただの石なのに…決して安いとは言えないお値段設定にも関わらず、その効果は何とも曖昧なもの。

「ジェムリンガはただひたすら、あなた自身が女性であることを認識するための材料に過ぎません。しばらく女性活動をストップしてしまっている方にとっては女性であることを思い出し、その与えられた性を知りなおすためのきっかけに過ぎません」

言っていることは悪くないんだけど、これでは「アソコにパワーストーンを入れること」と「性の悩みが解決につながること」の因果関係がまったく見えてきません。

医学的な根拠もなく、なーんか“女性の弱みに漬け込んでる感”がぷんぷんとしますよね~。

ジェムリンガの危険性

実際、「ジェムリンガ」でGoogle検索をすると、その危険性を訴えるサイトがたくさん出てきます。具体的には、

トキシックショック症候群

長時間ジェムリンガを挿入し続けることで、結合部に黄色ブドウ球菌が溜まり、トキシックショック症候群(TSS)を引き起こす可能性がある。TTSを発症すると、高熱・吐き気・筋肉痛・下痢・めまい・失神などの症状が表れ、最悪の場合、死亡するケースもあるそう。

細菌感染

ジェムリンガに使用されている材料は衛生材料でも、医療材料でもない。いくら鉱物や銀を使用していたとしても、素人が滅菌をせずに異物を膣に留置するのは危険。金属部分が劣化して感染症や炎症を引き起こす可能性も。

出てこない

ジェムリンガの使用者からは、「取り出したいけど出てこない」というトラブルも多発しているそう。子宮内膜を傷つけ、腹部に激しい痛みを伴う場合もある。

知れば知るほど恐ろしい、ジェムリンガ。次の項目では、いよいよジェムリンガの信者(?)たちが集うイベントへの潜入レポをお伝えしていきましょう。

ジェムリンガの販売会に参加した経緯

そもそも私がなぜこのイベントに参加したのかというと、知り合いの男性(50代)に誘われたことがきっかけでした。

彼との出会いは2012年の冬でした。私がウェブ上で公開していた性のコラムをたまたま彼が見つけて、Twitterでメッセージのやりとりをしたのが始まりでした。

それからちょうど1年が経った頃、彼から「性の分野でライターをしていきたいなら会わせたい人がいるから」ということで、このイベントに出向くことに。

その会わせたい人物とは、ジェムリンガの広告塔となっている、サロン楓代表の印南真帆さん、そして子宮委員長はるとしておなじみの元風俗嬢、岡田紗弥佳さんでした。(※ここ最近、メディアを通してジェムリンガの危険性が報じられるようになって以降、お二人ともブログ等でジェムリンガの宣伝をするのは辞めているようです)

子宮委員長はるさんは、ブログをお読みいただければわかりますが、なんかとにかくスピリチュアルな雰囲気ぷんぷんで、私とは住んでいる世界が違いすぎるのです。

「…うーむ(゜-゜)ついていけなさそう…」と一瞬尻込みしたものの、エロライターとして駆け出しだった私は、「人脈が広がるなら」という軽い気持ちでイベントに足を運ぶことにしました。

心に闇を抱える子宮女子たちの集い

2013年2月ですね~。東京・白金台付近の古びた区民館がイベント会場でした。会場の中の見取り図はこんな感じ。

jemlinga_event

参加者は30代~50代の女性がほとんどで、大体10名ほど。主催者はジェムリンガの生みの親である、元宝石商の須佐厳(すさげん)さんというおじさまと、その奥さん、そしてサロン楓の印南さんでした。

イベント自体は1~2時間ほど。須佐厳さんの進行のもと、ジェムリンガを使用している女性たちが順番にその効果や日常生活で抱える悩みなどを打ち明けていくというもの。

参加者のなかには仙台など遠方から来ている方もいて、「旦那とセックスレス」「40過ぎてバツイチ。再婚したいが出会いがない」など、精神的に弱っている方が多い印象でした。

須佐厳氏の巧みな話術に操られる信者たち

私はジェムリンガの販売会であることを知らずにこのイベントに参加をしたので、こういう人たちがいることにとにかく驚きました。

『パワーストーンをアソコにいれるって、痛くないの? 危なくないの? 中でヒモが切れたらどうするの?!』

実際にジェムリンガを入れている女性たちの話を聞けば聞くほど恐ろしくなりました。

ところがそうした素朴な疑問を口にできるような雰囲気は一切なく、イベントでは終始、須佐厳さんが商品のすばらしさを熱弁するばかり。

冗談交じりで「最初みたときアダルトグッズなのかと思いました~あははぁ(*´ω`)」といったら、その場の雰囲気が凍り付き、軽く説教される始末。

「ホト(膣)が温かくなる」「女性として輝き始める」

わりと強めの口調で、そんなことを言われていると、「これまで自分が無知だっただけで、本当はジェムリンガってすごく良いものなんじゃないか」と錯覚するほど。おじさんのトークはかなり圧の強いものでした。

このイベントに参加していた女性たちのように「ジェムリンガに出会って身体が変わった」「以前よりも自分を好きになれた」と語る子宮女子もいます。

ジェムリンガを使用することで彼女たちが精神的に安定して生きられるのならば、第三者が口出しするようなことでもないのかもしれませんが…。販売者側の巧みな話術を鵜呑みにするだけでなく、少し立ち止まって、医者や専門家の警告にも冷静に耳を傾けてほしいものです。