出産が終わっても、性欲が湧かない…という女性は少なくありません。旦那さんから「そろそろしてもいい?」とお誘いがあっても、どうしてもその気になれなくてギクシャクしてしまうこともあるでしょう。
しかしそれは旦那さんへの愛情が冷めたというよりも、産後のホルモンバランスが影響しているものなので、焦らずにゆっくりと対処していくことが大切。
今回は産後のホルモンバランスの変化が女性の性欲にどのような影響をもたらすのか。パートナーとの性生活と前向きに向き合う方法をまとめてみました。
目次
妊娠中のホルモンの変化
女性の体は妊娠をすると、初期の段階では「HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」の分泌量が増え、妊娠20週頃から妊娠後期にかけて「エストロゲン」と「プロゲステロン」という2種類のホルモンの分泌量が増えます。
HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)
妊娠初期に一気に分泌量が増える「HCG」は、妊娠を継続させるために欠かせないホルモンです。妊娠をすると病院に行く前に妊娠検査薬を使用する人が多いと思いますが、この検査薬で「陽性」になる成分がHCGです。
妊娠すると週数が進むにつれて濃度が濃くなり、妊娠10週をピークに減少していきます。多くの妊婦さんを苦しめる「つわり」も、このホルモンが影響していると言われています。
エストロゲン(卵胞ホルモン)
エストロゲン(卵胞ホルモン)は、別名「美容ホルモン」と呼ばれていて、髪や肌をきれいにしたり、女性らしい丸みをおびた体を作ったり、セックスアピールをあげてくれるありがたい女性ホルモンです。
また卵胞の成熟を促したり、受精卵の着床を助けるために子宮内膜を厚くしたり、精子が子宮の中に入りやすいように頸管粘液の分泌を促したり、妊娠においても重要な働きを持っています。
プロゲステロン(黄体ホルモン)
プロゲステロン(黄体ホルモン)は、妊娠前は受精卵が着床しやすいように、妊娠中は、赤ちゃんが成長しやすいように子宮内を整えてくれる働きを持っています。エストロゲンと同様に妊娠には欠かせないホルモンです。
しかしプロゲステロンは、別名「おブスホルモン」とも呼ばれていて、攻撃的になったり、落ち込みやすくなったりすることがあるようです。生理前のイライラもこのホルモンの仕業ですね。
産後のホルモンの変化
10か月の妊娠期間を経て出産が終わると、女性の体は「エストロゲン」「プロゲステロン」の分泌量が急激に減少し、その代わりに「プロラクチン」というホルモンの分泌量が増えます。
プロラクチンとは、脳下垂体から放出される刺激ホルモンのこと。乳腺を刺激して母乳の分泌を促すホルモンと言われています。赤ちゃんがおっぱいを吸って乳頭を刺激すればするほど、プロラクチンの分泌量は増えていきます。
産後に性欲が湧かない女性が多いのは、このホルモンが関係しています。このホルモンには性欲を抑制する働きがあるため、旦那さんからのお誘いに対して「セックスなんてしてる場合じゃないの!子育てしなきゃ」と思ってしまうのです。
産後は急激なホルモンバランスの変化のせいで、精神的に不安定になりやすい時期でもあります。産褥期(産後の体が元通りになるまでの6~8週間ほど)は、この状態が続くと言われています。
また授乳で寝不足が続いたり、慣れない育児で不安を抱えたり、生活の変化が性欲減退につながることも関係しているようです。
産後のホルモンバランスの変化を旦那さんにも理解してもらおう
子育てって大変ですよね。私も現在生後0か月の男の子を育てていて、毎日慣れないことでいっぱいいっぱいです。産後から里帰りをしていることもあり、主人とのコミュニケーションも不足していて、申し訳ないなぁと思っています。
産後の性欲減退は、生理前にイライラしたり、排卵日にムラムラしたりすることと同じ。ホルモンバランスの変化が大きく影響しているので、「その気になれないのは、子供を育てるうえで自然なこと」ととらえましょう。
パートナーにも「私の体では今、こういう変化が起こってるの。あなたとしたくないわけじゃないわけじゃないから。体が回復するまでもう少しだけ待ってもらえる?」と丁寧に伝えてあげるとギクシャクせずに済むかもしれませんね。
産後は気持ちに余裕がなく、身近なパートナーの言動にイラっとしたり、八つ当たりしてしまうこともあるかもしれませんが、こういうときこそ意地をはらず、素直な気持ちで話し合う時間を大切にしていけるといいですね。