「子宮で感じる」の意味を医学的に解説。子宮にも性感帯はあるの?

「子宮でペニスを突かれる快感」「子宮の入り口まで感じる」

官能小説などで「子宮で感じる」という表現を目にすることってありますよね。

子宮は本来、赤ちゃんを育てるためのベッド。「子宮で感じる」=セックスで今まで味わったことのない快感を意味するのは、感覚的にはわかる気がします。

しかし実際に、子宮でオーガズムを感じることはあるのでしょうか。そこで今回は、「子宮で感じる」の意味について医学的な観点から解説していきたいと思います。

子宮ってどんな器官なの?

子宮は膀胱と直腸の間にあり、洋ナシのような形をしています。大きさは7~8センチぐらい。子宮底部、子宮体部、子宮膣部の3つに分けられます。子宮は妊娠した際、胎児を育てるための大切な器官です。

子宮膣部はいわゆる「ポルチオ」と呼ばれ、子宮口の付近に位置しています。ポルチオといえば、Gスポットと同じく、女性器の性感帯として有名ですよね。

官能小説などで目にする「子宮で感じる」の正体は、ポルチオ性感帯のことを指しているようです。

しかし医学的には、女性器の神経は膣の入り口付近に集中し、奥に進むほど密集度が低下していきます。そのため、膣の奥やポルチオのあたりをペニスで刺激したところで、オーガズムを迎えることはないそうです。

子宮で感じる=脳の錯覚

では、俗に言う「子宮で感じる(ポルチオオーガズム)」の正体とは、いったい何なのでしょうか。

医師の北村邦夫氏は著書『幸せのSEX~男の誤解、女の誤算』の中で、「セックスは両足の間ではなく、両耳の間(=脳)で行う行為」とし、「子宮で感じる」の意味を次のように説明しています。

「快感というものは、脳で判断するのです。ポルチオそのもので快感を得ることができるかと問われれば、医学的には完全に否定されます。

つまりポルチオを支点としてペニスによっておなかの中がかきまわされている、子宮まで突かれているという感覚が興奮を促し、まるで子宮が感じているような錯覚をしてしまうわけです」

ポルチオオーガズムは「脳の錯覚」だったということですね。

たしかに、クリトリスやGスポットで感じるオーガズムは、局所的というか「ここでイってる!」という感じがはっきりとわかります。それに対して、ポルチオオーガズムって頭の中がぼーっとして全身が気持ちよくなる感じです。

さらに北村氏は、「激しくペニスを動かせば、その刺激は敏感にクリトリスや膣の入り口にも及ぶわけですから、本当はそこで感じているのかもしれない」とも説明しています。

子宮まで届くほどの挿入は気持ちよくない!

医学的には、「ポルチオ(子宮)で感じるオーガズム」は幻想。膣の中の性感帯は入り口付近に集中していますから、子宮まで届くほどの激しいピストン運動は、人によっては不快に感じることもあるというのが結論です。

しかし残念ながら、男性の中には、「膣の奥までガンガン突けば女性は気持ちよくなるはずだ」と思い込んでいる人も多くいます。その思い込みが女性を性交痛で悩ませたり、セックス嫌いの原因となるんですね。

男性のひとりよがりなセックスを助長しないためにも、「子宮は性感帯ではない!」「ポルチオは鈍感な部位」であることを忘れずに安全なセックスを心がけたいものです。