オナニーの由来は膣外射精?!自慰行為の歴史的背景に迫る

おしゃれでポップなアダルトグッズが種類豊富に発売され、少しずつ市民権を獲得している「女性のオナニー」。とはいえ、どんなに奔放な女性でも、人前で”自分のオナニー”を語るのは抵抗感がある人が多いでしょう。

女性にとってオナニーは、セックスをはるかに超える秘め事なのです。オナニーはみんながしていること、なのに心のどこかで「かっこ悪い」「汚らわしい」と思ってしまうのはなぜなのでしょうか。

オナニーの由来は、膣外射精?!

まずは、自慰行為を意味する「オナニー」の語源についてお話します。オナニーはドイツ語で、その語源は「創世記」という聖書の中に登場する「オナン」という男性に由来しているそうです。

「オナンは兄エルが早死にしたため、その代わりに子孫を残すべく兄嫁タマルと結婚させられた。しかし、彼はその子孫が自分のものとならないのを知っていたので、兄に子孫を与えないように、性交時は精子を地面に流し、避妊をしようとした。しかしこの行為は主の意志に反するものとされ、オナンは兄と同様に主の意志によって殺された」(創世記、38章9節)

つまり、オナンが行った「膣外射精」の語義が転じて、生殖を目的としない射精行為を「オナニー」と呼ぶようになったということ。

膣外射精をしただけで殺されてしまう、なんて今の時代では考えられないことですが、当時のカトリックは避妊を禁じていたため、彼の行為を「命を無駄にしている」と解釈したそうです。

オナニーの由来には、性に厳格なカトリックの考え方が大きく影響しており、当時からあまりいい言葉として使われていなかったことが分かります。

江戸とは一変、性に閉鎖的な社会へ

これが、18世紀に入ると、医学者が「自慰行為は人体に有害である(※)」と唱え、その説が世の中に広まると、オナンの罪と結びつけて、オナニーを禁止する動きがおこったそうです。

明治以降、日本もこの影響を強く受けたため、お盛んな江戸とは一変して、性に閉鎖的な社会へと移り変わります。今でこそ、婚前交渉は当たり前の時代になりましたが、それでもなお、私たちの中に「オナニー、性=汚らわしい」という考えがあるのは、ヨーロッパ社会の考え方が強く影響しているからなのです。

このような歴史的背景を知ると、なぜ私たちが「オナニーと言うことに抵抗があるのか」がよくわかりますね。

でも本来、オナニーとは女性を癒しや快感で包み込んでくれるすばらしい行為でもあります。にもかかわらず、一昔前の偏った論理によって、性を楽しめなくなってしまうのは、女性として悲しいことです。

別の愛称をつけてみるといいかも

オナニーやマスターベーションに、汚らわしさを感じる場合には、別の愛称に言い換えてみるのも1つの手。例えば、ひとりエッチのような言葉ですね。

いきなり「オナニー」「おちんちん」と口にするのは恥ずかしくても、恋人や友達の間で別の愛称をつけて呼ぶことで、世間一般にある「いやらしいイメージ」を少しずつ取り払うことができるでしょう。

性的なことに嫌悪感を持っていて、セックスやオナニーを思いのままに楽しめないでいる女性は、そのことから目を背けたりせず、工夫をして少しずつ向き合ってみることからはじめてみましょう。

※現在では、オナニー有害論は否定されています。