実は誤解している人も多い「低用量ピル」の利用とメリット

コンドームは、性感染症の予防には有効ですが、避妊の効果はあまりよくありません。その避妊率は、90%ともいわれています。正しく装着ができていなかったり、質の悪いものを使用して途中で破けたりすると、妊娠のリスクは一気に高まるので注意が必要です。

「妊娠するのではないか・・」という不安

セックスに妊娠はつきもの。彼にコンドームを装着してもらっているとはいても、「もし子どもができちゃったらどうしよう・・・」と気になって、セックスに集中できなくなってしまったことはありませんか。

避妊に協力的ではない彼と付き合っている人なら、なおさらのことでしょう。セーフセックスを守ることは、相手へのマナーです。それに万が一妊娠をしてしまったとき、心身を傷つけるのは、女性の方なのです。基本的なことを守れないパートナーとは、セックスをすべきではないことをしっかり心得ておきたいですね。

以上のことを踏まえたうえで、女性のほうから主体的に望まない妊娠を回避する手段としておすすめなのが「低用量ピル」です。飲み忘れのないように服用すれば、その避妊効果は100%ともいわれています。

副作用の心配はほどんどなし!

ピルには、エストロゲンとプロゲステロンというふたつの女性ホルモンが一定の割合で配合されています。ピルを飲むと吸収された女性ホルモンの働きによって、カラダは人工的に妊娠に近い状態となり、卵巣の働きがストップします。結果として、排卵が起こらなくなり、避妊ができるという仕組みです。

「ピルは副作用が怖いから・・」というイメージを持っている方もいるかと思いますが、それは「中・高用量ピル」と誤解をしています。

一昔前に使用されていた「中・高用量ピル」は、エストロゲンの含有量が多かったため、肝機能障害、高血圧、循環器疾患などの副作用が問題となっていました。ピルを飲むと「イライラする、頭痛がする」などの症状も、中・高用量ピルを使用すると引き起こされるものです。

筆者も5年ほど前からピルを服用していますが、飲み始めた頃も体調の異常は一切ありませんでした。誤った情報やイメージを鵜呑みにして、ピルの服用をあきらめてしまうのはもったいないことです。

低用量ピルのうれしいメリット

ピルには、確実に避妊をしてくれること以外にも、女性の体にとってとてもうれしいメリットがたくさんあります。

まず1つ目に、ピルによって女性ホルモンの分泌が安定するため、ホルモンバランスの乱れから起こる「生理痛」や「PMS(月経前症候群)」といった症状を軽減する働きがあります。

また、子宮内膜症や子宮がんの予防にも効果があるといわれています。そのほかにも、にきびや毛深さなど男性ホルモンの過剰分泌から起こる悩みに効いたり、骨粗しょう症を予防したり、ホルモンバランスの乱れからくる悩みを改善してくれます。

女性の生活をかげから支えてくれるピル。上手に活用して、快適な毎日を過ごしていきたいですね。

参考文献:池下育子『やさしくわかる女性の医学』日本文芸社