コンドームがない時代。昔の人はどうやって避妊してたの?

日本で一般的な避妊法として広く使用されているコンドーム。最近はピルを服用する女性も増えたことで、望まない妊娠におびえることなく安心してセックスが楽しめるようになりました。

しかしコンドームやピルが一般化したのはごく最近のこと。そうしたアイテムのない時代、昔の人たちはどのようにして避妊をしていたのでしょうか。今回は昔の避妊法について調べてみました。

人類史上、最初の避妊法は「膣外射精」

人類史上、最初の避妊法は、旧約聖書に出てくる「オナンの罪」。いわゆる「膣外射精」だと考えられています。

オナンの罪とは、兄の妻をめとり、子をなすことを命じられた「オナン」がそれを拒んで精液を地に漏らし、それによって神に罰せられたというもの。マスターベーションの意味で用いられる「オナニー」の語源は、オナンの罪からきているといわれています。

膣外射精はキリスト教文化圏においては、長く禁じられてきましたが、フランス革命以降、一般的な避妊法として急速に普及したそうです。

ちなみに、膣外射精の避妊率(1年間同じ避妊法で続けた場合、妊娠してしまう確率)は、4~18%。健康な男女がセックスすれば、5組に1組は妊娠するということです。

コンドームやピルなどがなかった時代は唯一の避妊法として一般的だったのかもしれませんが、その失敗率は高いことがみてとれますね。

ペッサリー方式も一般的だった

膣外射精以外には、膣のなかに障害物を入れる「ペッサリー方式」も主流の避妊法でした。

紀元前1850年ごろの古代エジプトでは、ワニの糞とハチミツを塗り込んだ丸薬を膣のなかに挿入するという方法が行われていました。この避妊法は、かなり科学的なもの。

ハチミツには精子の運動を鈍くする働きがあり、またワニの糞は弱アルカリ性のため、精子の受精力を弱くする効果があるそうです。

とはいえ、動物の糞をアソコに入れるなんて衛生的に心配で、セックスを楽しむどころではなさそう……。

さらに、古代ペルシャでは、スポンジにアルコールをひたして、膣内に挿入する方法も行われてきました。この組み合わせは、避妊法として広まり、ヨーロッパでは17世紀ごろまでスポンジにブランデーをひたして使用されていました。

日本でも、古くはペッサリー方式が主流で、和紙を丸めて膣のなかに入れるという方法が一般的だったそうです。

コンドームはいつ頃作られた?

男性用コンドームが誕生したのは、18世紀に入ってからのこと。

紀元前3000年頃から、動物の盲腸や膀胱をセックス時に用いることはあったそうですが、その目的は熱帯病や昆虫からペニスを守る保護し、身分や地位を象徴するためのものだったようです。

15世紀頃になると、イタリアの解剖学者、ファロピウスが性病予防のためにリネン鞘(さや)を使用したコンドームを開発。日本で初めてコンドームを現在のゴム製のコンドームが作られたのは、1900年頃。当時は品質も良くなく、遊興が目的だったそうです。

しかし1980年代になると世界的にエイズが流行し、性病予防のためにコンドームが広く使用されるようになりました。

時代とともにコンドームの品質も改良され、近年は各社が「薄さ」の競い合いをしています。病気や望まない妊娠のリスクから身を守ることができれば、思う存分セックスを楽しめるようになるもの。

避妊法は男性任せにせず、女性から積極的に安全な方法を選択していきましょうね。

※参考文献:博学こだわり倶楽部『かなりHな大疑問』(河出書房新社)