江戸時代に大繁盛した「アダルトグッズ」のあれこれ

前回の記事では、女性向けアダルトグッズの誕生について書きました。女性用のおもちゃが生まれたのは奈良時代の頃。当時の女性たちは水牛の角をペニス代わりにオナニーをしていました。

さて今回は、「江戸時代のアダルトグッズ事情」についてとりあげてみましょう。日本の歴史史上、もっとも性を謳歌していた江戸の人々はどのような秘具を愛用していたのでしょうか。今回も下川氏の著書『エロティック日本史』を参考にみていきたいと思います。

アダルトグッズ専門店・四つ目屋とは?

四つ目屋とは江戸時代のアダルトグッズ専門店のこと。東京・両国米沢町の薬研堀(やげんぼり、現在の東日本橋1丁目)に店を構えていました。

創業は1626年(寛永3年)。それから約60年後の貞享年間(1684年~1688年)にはすでに江戸の有名店として知れ渡りました。その人気は、当時の浮世絵や川柳にも残っているほど、一大ブームを巻き起こしたお店のようです。

「この時期に描かれた奥村政信の浮世絵『両国涼見三幅対』の背景に四つ目屋の商号(家紋)である四つ目結い」が描かれていることから、そのことが推察される。夕涼みしている3人の美女の後ろに四つ目屋の家紋を入れることによって、店の繁昌ぶりをさりげなく示すと同時に、浮世絵の笑いの隠し味としたのである。店が有名になるにつれ、川柳でも格好の材料とされた」

当時は宮中や江戸城に住む欲求不満な大奥などの女官たちもアダルトグッズを愛用していました。

「彼女たち(女官)は天皇の将軍などのハレンチなセックスを目の前で見せつけられるのに、自分はまったく性交の機会がなかったから、欲求不満が募っていると世間では確信されていた。実際に化粧道具などを扱う小間物屋で大奥に出入りを許されていた業者は、張り形も用意していたといわれる」

江戸時代の代表的なアダルトグッズたち

江戸の人々から絶大的な人気を集めていた秘具店「四つ目屋」では、どのようなアダルトグッズを販売していたのでしょうか。ここでは代表的なものをいくつかご紹介しましょう。

・肥後瑞気(ひごずいき):

里芋の茎を乾燥させたもの。男性のペニスに巻きつけて挿入すると、オクラのようにヌルヌルになり、女性の内部にかゆみを感じさせて、こすられると気持ちいいらしい。

・吾妻形(あずまがた):

男性がオナニーの際に用いるもの。女性器を模して作られており、現代のTENGAに形が似ています。

・京形(きょうがた):

京都製の張り形のこと。水牛製やべっ甲製。べっ甲製は表面が滑らかなひだが刻まれており、水牛製よりも精巧だったそう。

・琳の輪(りんのわ):

数珠のような見た目をしていて、ペニスに巻き付けて使います。女性器に挿入する際に、玉があたって気持ちいいらしい。

・琳の玉(りんのたま):

琳の輪よりも大きめの鈴を2つか3つ女性器の中に挿入し、ペニスで突くと鈴がぶつかって「りんりん」と鳴る。ちなみにこの玩具は1980年頃(昭和55年)まで流通していたそう。

・海鼠の輪(なまこのわ):

使い方は琳の輪と同じ。カリに高さが出ることで、挿入の気持ち良さが格段にアップしたそうです。

・互形:

女子がふたりで使用する張り形。レズビアンカップル用の玩具で、現在でも販売されていますね。

山芋の茎に、鈴・・・。健康上、大丈夫なの?と突っ込みをいれたくなるものも多々ありますが、今から400年も前の日本にこんなにも豊富な玩具が存在していたとは、やっぱり江戸ってすごい時代だったんですね。

セックスにアダルトグッズを取り入れてみよう!

最近、日本でもカップル向けのアダルトグッズが少しずつ売られるようになってきましたが、まだまだ大人のおもちゃというと「TENGA」や「ピンクローター」のようにオナニーを楽しむ秘密のアイテムとしてとらえている方も多いはず。

しかし日本の歴史をさかのぼってみると、江戸の人々は、セックスをさらに気持ちよくもりあげるアイテムとして玩具を利用していたことがわかりました。当時と違い、最近は安全で機能性にも優れたアダルトグッズがたくさん販売されています。

ぜひふたりのセックスを盛り上げるアイテムとして、積極的にとりいれてみてはいかがでしょうか。